じゅて~む エッセイ編 第120夜

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

今年こそ国語の教科書にこのエッセイが載る気がしてならない。

大人っぽい回ではなく、

俺が赤ずきんちゃんの兄になる回が、おそらく載ると思われる。

じゅて~む 童話エッセイ 第55夜 「達太、赤ずきんちゃんの兄に②」 https://ejiriharuko.amebaownd.com/posts/34752086 #amebaownd

俺は達太。

平日は実直な会社員として、昼と15時に出前をとっている。

昼はがっつり、カツカレーと天ぷらうどんのBセット。

店側が「そんなセットはありません」と言っても知るもんか。

機転の利く俺は「なるほど。そんな意地悪を言うなら、カツカレーを一人前と、

天ぷらうどんを一人前を頼もうじゃないか。Bセットは諦めよう。」と、大変寛大だ。

店員は「ありがとうございます」と俺に感謝を述べる。

俺は「礼はいいよ。やめてくれ。」と頬を緩める・・・。

出社して最初に行う業務だ。

毎朝きっかり9時に電話している。

15時の出前については、なんと、電話は行わない。

昼の出前のお皿を回収しにきた際に、

「15時ごろは客が少なくて大変だろう。なに心配するな、俺に簡単な唐揚げを頼むよ。」

と、耳打ちする。

なぜ耳打ちか。

その方が背徳感があって宜しい。

俺と店員でひとつ、秘密を共有する。

「星の王子さま」を読んだ事がありますか?

大事に水やりをした薔薇だから、より愛しいという話。

例えばコントライブを一度一緒に作ると、裏方・表方関係なく大事な存在になりがちという。

俺はコントの経験は皆無だが、なぜかわかる。

この「簡単な唐揚げを」の耳打ちがなければ、俺も店員も互いと愛しいとは思えないだろう。

では耳打ちで俺は店員を愛おしく思ったか?

否。俺は「じゅて~む」読者の方をより愛している。

店員も同じくだ「普通の唐揚げですね」と、俺が簡単なカクテルを頼むように、簡単なスーツを仕立ててもらうように、「簡単な唐揚げ」を頼んだのに色気を取っ払ってくる。

と、ここまでが平日の俺。

日曜はエッセイストだ。


では空白の土曜は?

ひとりの男として、過ごす。

何を想像してもらっても構わない。

焼き肉食べ放題に入り浸る俺。

麻婆丼と餃子を軽くやっつける俺。

ながしそうめんをしながら、そうめんを全て取り逃し、めんつゆを淋しく啜る俺。

すき家と松家と吉野家を給水所として、フルマラソンにチャレンジする俺。

そして捻挫。

メス薔薇のようなイイ女とデートする俺、カフェでケーキをクリームパンのごとく丸のみして女を魅了する。

バスケットボールのユニフォームを着て、もちろん赤色、

劇場版スラムダンクを観る俺。なぜかここでも捻挫。映画を観ただけなのに。

3D映画って、そんなことも可能なのか?わからん。


そら、やっと日曜だ。

エッセイが楽しみだ。

だが。

しばらくエッセイを書かせてもらえなかった。

こんな俺にも母がいる。

母が。俺からパソコンを奪ったんだ。

俺はまるで母親にゲームを奪われた子供のよう。

つまり、エッセイを書いていない間、俺は子供だった。つまり俺は可愛くなっていた。

今日からまたよろしく頼む。

俺、宮村達太39歳と、エッセイ「じゅて~む」を。


追伸

実は正確には、先週日曜には母がパソコンを返してくれたのだが

翌日11日(祝・月)の成人の日を、俺は成人病の日と間違え、

成人病まっしぐらの俺が市長から祝われる日と勘違いし、

紋付き袴で記念撮影をしていたんだ。

もちろん成人式にも参列した。

周りはざわついていたな。

新成人の俺に。

じゅて~む

俺を。見捨てないでくれ。たまに休むが、その間、先に述べた土曜のような過ごし方は一切していない。信じてくれ。

じゅて~む

じゅて~む

【あらすじ】 N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、 架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。 そして、達太の外見は、39歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。

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