じゅて~む エッセイ編 第29夜
【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。
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まずは自己紹介から。
只今、日曜の夜21時です。
月~金は会社員を装ってはいるが、本当はエッセイストの俺、達太。39歳。
ウェブ上にてエッセイを連載しているのだが、ダンディを決めたくて、第〇回というのを、大人っぽく色っぽく第〇夜とカウントしているのだが。
困った事に第29夜を迎えてしまった。
つまり、肉屋だ。
第15夜も、15夜の月の美しき呪いにかかってしまい、全く筆が進まなかったのだが、今回は尊敬する職業第一位の肉屋だ。
プレッシャーが半端ではない。
ちなみに、第2位が警察官、
第3位が医者と中華料理屋で順不同、第5位が定食屋、
第6位がダイソーの社長だ。
それで、こんな時間だ。
俺は諦めたんだ。
第29夜にふさわしいエッセイなんて、この世に存在しない。
だから俺は本日をエッセイストとして過ごすことを諦め、読む側に回ることに。
読書の秋だ。肉屋を尊敬する読書の秋だ。
元々ほとんど開いていない目を、俺は瞑り、自身の本棚に手を伸ばす。
こんな肉屋日和に読む本を自分で選ぶほど、俺は身の程知らずではない。
運に任せるのだ。
フランツ・カフカ、変身。
フランツ・カフカと聞いて、ケーキ屋だと思う女子も多かろう。違いますよご婦人連中、小説家です。
中学生のときに読書感想文を書くために買い求めた一冊。
大人になった今、読むのもいいもんだ。当時とはまた違った感想を抱くだろう。
俺は母校に乗り込む俺を想像する。
中学の頃に書いた読書感想文を取り返しに行くのだ。
今の俺はあの頃の何倍も大きく成長した。何倍だ?4倍か。
今の俺が抱く感想は、4倍中身がある。
「朝起きたら巨大な芋虫なんて嫌です。」など書くものか。
母校の教師は驚くだろう。読書感想文の回収?誰?卒業生?高木ブー?
母校を訪ねるタイプじゃないよねえ?!
ほっとけ。
想像できてしまった、俺が、母校に拒否される様を。賢さは罪だな。読書感想文の回収は、次回に持ち越しだ。
さて。
娘さん方、フランツ・カフカはケーキ屋ではありませんよ。
代表作は「変身」朝起きたら、巨大な芋虫になっていたという・・・。
しかもそれで起承転結があるわけでもなく・・・。
読書の秋に読んでみなさい、マダム。
『「変身」を読み』宮村達太(39)
俺は、朝起きたら巨大な芋虫と化していた。
腹が減っていた。
自室を出て、台所へ向かう。
キャベツを食わねばならないのか。
しかし人間であった記憶が強い。
俺は、冷凍庫から牛丼の具を取り出し、お米を炊き、牛丼大盛を頂く。
冷蔵庫にハムを見つける。
頂く。
スマートホンをいじり「銀の皿」の寿司と、バーミヤンの中華を注文、ピザも。本当は定食屋の出前を取りたいが、そこは芋虫。大人しくスマホ注文に徹する。
芋虫としての土日。人間達太の土日と変わらないな。俺の感想。
もりもり食べて、月曜に備える。
俺は芋虫でも俺。
フランツは芋虫になるのが怖かったか。食べに出掛けられない苦悩というやつだな。青春そのもの。
つまりは。出前が発達していない時代の小説なのだ。そうか。そうだ。
もしも出前が発達していたら、こんな小説は生まれなかっただろう。
俺は、芋虫として栄養を蓄え、そして、さなぎとして夜22時に眠る。
そして、朝7時、蝶として目覚める。
順調だ。
「変身」は順調だ。
明朝、蝶となり出社するのが楽しみだ。
甘い蜜を吸いまくるんだ。
・・・。
は?
蜜?
つまらんよ。食べた気がしない。
蝶になるのも考えものだな。
芋虫のままが良い。
明朝、県道沿いのかつ屋で朝定食でも頂こうか。
蝶として、芋虫として。
読書の秋。
読む側も悪くないな。
全ての肉屋に、
じゅて~む!!
もちろん、業者向けの肉屋も含んでますよ、
じゅて~む!
愛が止まらない、
じゅて~む!
ハッピーバースデイ第29夜!
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