じゅて~む エッセイ編 第42夜
【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子(39歳)が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。
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まずは自己紹介から。
あたしはヒロコ、17歳。
似ている有名人?
音楽家のバッハかな。
代表曲はフーガとG線上のアリア。
自分ではそこんとこ、よくわかんないんだけど、男子があたしらに隠れて言っているんだから、お世辞じゃないと思う。
本気なんだと思う。
まったく、同年代の男は子供っぽい。
絶対に付き合ってやらない。
でも毎日100円くれるなら付き合ってもいいかなって思う。
本気を認めてやるっていうか。
血液型はO型、8月生まれ、さそり座。
友達は8月生まれなんだから、さそり座のわけないよアンタ!
なんて言うけれど、あたしは気にしない。
自分の星座くらい自分で決めさせてくれって感じ。
あたしはさそりが好き。
飼ってもいいかなって思ってる。
そのためにお部屋を砂漠にする覚悟だってある。
ママには口が裂けても言えないけどね!
こんな私ヒロコ17歳にも悩みがある。
それは、2日前に自転車のカギを失くしちゃったこと。
そんで今、スペアっていうの?
おまけでくっついてきた2本目の予備のカギでしのいでいること。
これが親にバレたら・・・って悩んでいる。
バレないように、自転車ごと川に投げ捨てようと考えたりもした。でも市のホームページを見ていたら、それがいけない事だってわかって、辞めた。
代わりに川には白ゴマを一粒、投げ捨ててやった。これなら、問題ないでしょ?
でもやっぱり物を川に投げ捨てたことには違いなくって、「ああゴマなんて川に投げなきゃ良かった」って後悔して落ち込んで、戒めにバイト辞めようか悩んでいたら、友達が、
「あんた制服に白ゴマ付いてるよ」
って、教えてくれた。
白ゴマって投げても飛ばないんだ、ってわかった。
友達って大事だなって改めて思う。
バイトも辞めずに済んだ。
バイトって言っても、家の庭の草むしりをして、バイト代と称して冷蔵庫のプリンを食べるだけなんだけどね。
それでも立派なバイトと思ってる。庭を雑草だらけにするわけにはいかない。バイト辞めなくって良かった。
ところで、元カレと再会しちゃった。最悪。
友達といつものようにマックでてりやきバーガーとポテトを食べて、バイバイして、
ちょっと一人になりたい気分だったから、そのあと一人でモスでチーズバーガーとポテトを食べていたときだったかな。
「だーれだ」なんていう声がするから振り返ったら。そいつがいて。
「だーれだ」が「お前誰だ」って質問とうっかり勘違いしたあたしは
「ヒロコです。久しぶり。」
なんて間抜けな答え方をして、そしたらあいつ、
「いや、俺が誰だって聞いてんの。」
とか言い出して、
「達男。」
って答えてあげた。
「大正解。」
ああ、変わってないな、ってあたしは懐かしくなる。
でも、寄りを戻すことは絶対に無い。
ところが驚いたことに達男のやつ
「俺、昔はバカだったけど、今IQ190あるんだぜ。なあ付き合おうぜ。」
なんて言う。
IQ190か。
確かに魅力的。
IQ
「おい迷うなよ。今すぐ俺と付き合おうぜ?即決したらお前もIQ180にしてやるよ。」
IQ180。なってみたい。
でも達男より10低いのはなんで?
せこいところは変わってない。懐かしい。
あたしがIQ180、達男が190。天才カップルの誕生だ。
この町に貢献できるかもしれない。
ヒロコ17歳、とりあえず店を変え、達男に牛丼をご馳走させて、考える時間を稼ごうと思う。
じゅて~む
疲れた。
女子高生にエッセイをのっとられた。
そういう「ドッキリ」だ。
疲れた。
俺は達太。39歳。会社員。
高木ブー似。ジャムおじさん。
疲れたうえに、そんなに面白くもないエッセイとなった。
いくらIQ180になりかけとはいえ、所詮は女子高生。
エッセイをやらすには早かったのだろう。正体は俺なのだが、そうなんだろう。
面白くなかったことをヒロコ17歳のせいにして、
大人げなく、
じゅて~む
自作自演の、のっとられ行為は今後やめだ。
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