じゅて~む エッセイ編 第74夜 「達太こぶとりじいさんと寝食と共に⑤」
【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
タイトルの「じゅて~む」は愛しているという意味だが、架空の男性・達太が主人公の小説「じゅて~む」からの引用でもある。
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結果から述べよう。
翁は、俺にエプロンを買うための小遣いをくれなかった。
俺は達太、39歳のご馳走に目がない会社員。
日本昔話の世界に小太りのじいさんが居ると知り、そのじいさんと寝食をともにしている。ところが色々あって俺の腹にコブができた。
しかし。
「あー、いやだ~。
この餅みたいなの何なの?
邪魔だ!俺の腹に邪魔だ!」
など泣き叫んでみろ。
翁が悪者になってしまう。
自分が昼に俺に粗末な食事をさせた。そのせいで起こった悲劇。
重たい。俺なら耐えられない。
解決策はひとつ。俺が翁に金をせびる。
金で解決か。
久しぶりだ、こんな真似は。
「翁、俺に小遣いを下さい。」
ところが!驚いた!
翁は財布をださない。
罪を背負い込むつもりか。
俺も負けてはいられない。
「翁。お金を下さい。
じゅて~む、翁、
じゅて~~む??」
おかしい。懇願が通じていない?
まさか。翁にはフランス語が通じないのか?
「じゅて~む。ムッシュ。」
そんなはずはない。
では、照れているのか?
あり得る。日本の昔の男は寡黙だ。愛してるなんて連発され慣れてない。
だが。結果から発表しよう。
翁にフランス語は通じていなかった!
しかし。鬼にはフランス語が伝わっている恐れがある。
その証拠に鬼は、
「あとは家で話し合ったらどうだ。」
と提案してきた。
「勘違いしないでくれ給えよ?
鬼ってやつは、話をそっちに持っていくのが全く好きなんだね。困るな。」
そう鬼に弁解しつつ、俺も恥ずかしくなってきた。
しかも俺は、毎週フランス語で愛してるとエッセイの中で言っている。
今、急激に恥ずかしくなってきた。
しかもそのエッセイのタイトルは「じゅて~む」だ。
次回、いよいよ重箱の数を増やした宴会が始まる・・・。この恥ずかしさにも慣れなくては。
じゅて~む
愛しています
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