じゅて~む エッセイ編 第95夜
【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
そして、達太の外見は、40歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。
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んで。
俺は小顔サロンに入店するんだっけ。
前回の続きだ、ついてこい、俺すらついてこれていないが、ついてこい。
確か前回、デート中に行列のラーメン店を発見、
昼飯を食った直後だが「君」に「並ぶ?並ばない?」「他の店にしようか。」と余裕をかまし、
「君」から「並ばないし他も食べない昼ごはんは食べたでしょう」みたいな事を言われ、男としてのプライドをズタズタにされ、
こんな世界もう見たくないと白目で歩いて、小顔サロンの看板にぶつかり、
小顔サロンに入店する予定になっているのだ。
俺と小顔。縁が無いと思っていたが。
俺は達太。牛丼やカツ丼や薔薇の花を愛している。
そこそこモテる。だがウリは小顔ではない。
似ている有名人は高木ブー氏。徳川家康。実物にお会いしたことはないが小顔ではないだろう。
小顔の徳川家康には天下は取れない。着物も似合わないだろう。
おい、今、俺の浴衣姿を想像した読者がいたろう、見逃さないぞ俺は。
やめておけ、白無垢姿も、俺で満たすのはやめておけ。ギリ十二ひとえは想像しても大丈夫だ。むしろ好きなだけどうぞだ。
似ている有名人の話だったな。すまない、
ちなみに、俺と誕生日を同じくする有名人は、吉田拓郎。
代表曲は「結婚しようよ」
それに鳥山明も同じく。代表作はドラゴンボール。
ドラゴンボールいいじゃないか、小顔の人物ばかりだ。ベジータ様は違うかもしれないが。やっと俺と小顔の接点ができたわけだ。
そして、なんと、もう一人俺と同じ誕生日の有名人が。
なんと、坂東英二。
そんな俺、達太、
「僕は音楽家のバッハに似ています」と、電話先の相手には告げることにしている。
なに、まだ電話の段階だ。
見積りで十分。
実際はバッハより頬に肉がついているし、クラシックを聴くと「この人達だって昼飯はカツ丼だったんだよなあ」と必ず思ってしまうほど、音楽に疎い。
さあ、電話だ、サロンの看板に予約制と書いてあるからだ。
定食屋でいうところのレストランの位置づけというわけか。
「もしもし。小顔サロンですか。
予約を1件頼もうか。
ああ。男性だよ。
声でわかるだろう?
今のところ、音楽家のバッハに似ている。代表曲はG線上のアリア。
お顔の悩み?
は無いな。意外かもしれないが、一切外見には困っていない。顔はもちろん困っていない。
ああ。もう店の前だ。
名前は宮村達太。」
小顔の施術が始まって俺は驚いた。
俺が小顔になる夢を見たのだ。
夢の中で俺は、なんと小顔で、子猫に囲まれ、なんと、自分のカツカレーを子猫らに分け与えていたのだ。
「待て。お前はさっき舐めたろう。後ろのお前、プルプル震えてないで来なさい」
現実の俺では絶対にありえない光景。
俺は好きな女にも一口も分け与えない。
「一口交換しよう?」
と言われたら、ササっとすべて平らげ、
「いいよ。けれど俺のはもう残ってないぜ、それでもいいのかな。悪いね。」
と言って、心の中でじゅて~むと唱え、女のオムライスの3分の1を頂く。メンチカツだったら一個丸ごと頂く。じゅて~む。
そんな俺が、子猫にカレーを。
そして、夢の中の小顔の俺はカツカレーのカツも、ゆっくり噛んで食べていた・・・。
「宮村さん、終了しました。ゆっくり起き上がってください。」
声をかけられ、俺は驚いた。
終了。
なにが? 焼き肉食べ放題が?
あ、夢が、終了。
「鏡をご覧になって下さい。」
鏡を見て俺は驚いた。
俺に、えくぼが、できていた。
顔は大きいままだった。
えくぼができた俺に担当女性が話しかける、
「気分はどうですか。」
「腹が減りました。」
「そうですか。」
「そうだ、えくぼを復活させてくれたお礼に、今から飯でもどうですか。」
「仕事中ですので。」
「では申し訳ないが俺一人で食ってきます。」
フラれてしまった。
先日観た芝居で学んだ教訓を、俺は全然活かせてないじゃないか。
その芝居には、「大木君」なる若者が登場。
男らしく、心臓に毛が生えている精神の持ち主で、結果、心臓の毛が脇から伸びて腰のあたりまで垂れている。
心臓から生えている証拠に左の脇からの毛の方が、長い。
そんな役、誰にでもできるのか。
否。嫌。
だがその芝居で演じた役者、ジェントルと失礼を兼ね備え、そんな矛盾だらけの状態で、大木君として縦横無尽に舞台上で騒いでいた。
そして大木君は、去り際に仕事中の女上司に「暇?」と声をかける。
俺は、おおここからはラブロマンスの展開か、、と冷静。
ところが女上司。「仕事です」と断った。
俺は驚いた。大どんでん返しだ!
俺は、驚き、学んだ。
仕事中の人を誘うと、フラれる。
じゃあ、唯一、俺が女性と接する機会、定食屋や牛丼チェーン店、総菜売り場の揚げ物コーナーでは、
誘ってもフラれるというわけだ。
せっかく、第95夜にして、えくぼというチャームポイントができたのに。
だが俺は自分が傷付いてもいい、
日曜休みの貴方にも、仕事中の貴方にもフラれる覚悟で、
じゅて~む
お詫び
一部、先日の達太出演の芝居をご覧の方へのサービス箇所が、今回もありました。
お詫びのクイズ
達太が嘘をついている箇所があります
ヒント、21行目
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