じゅて~む エッセイ編 第96夜「北風と太陽③」












【あらすじ】


N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。


そして、達太の外見は、40歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。


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俺の住むN県新潟市にも、桜が咲いた。


俺は達太。39歳の会社員。


これまで散々自己紹介をしてきたが、趣味と好きな映画についてはノータッチだったような気がする。




趣味はカツ丼じゃないの?


と思われた方もいるかもしれない、だがよく考えてくれ、カツ丼はメニュー名だ。


どんなに好きでも、例えば面接で趣味は?と問われても「カツ丼」と答えてはならない。


悲しい事実だ。


まるで自分に嘘をついているような。


「ワカサギ」は大丈夫だ。


ワカサギのフライが好きなんだろうが、ワカサギ釣りが趣味と映るだろう、面接官に。




じゃあ、俺の趣味はいったいなんだ。


エッセイ。


は?


仕事です。日曜の。収入の無い。




じゃ、やっぱりカツ丼。麻婆。


なわ跳び。


なわ跳び?


持っていないが、なわ跳び。


俺はそもそも跳べるのか。


小学生のとき以来かもしれない。


中学では俺はなわ跳びをしなかった気がする。運動が嫌いという理由で、運動全般を禁止事項とし、必死でそれを守ったのだ。


女子にいいところを魅せたいと思った時も、運動全般を禁止にした自分を貫いた。


体育の授業には出ていた。


だがどんなときもゆったりと、体育を見守る校長のようにグラウンドを練り歩いた。


今思うと、邪魔だったかもしれない。


バレーや卓球の授業はまだいい。


「宮村君歩いてるな、組みたくないな」


で、済む。済んでいる。


問題はバスケットやサッカーのとき。とても邪魔だったろう。


俺がフィールドを練り歩くからパスが思う通りに出せないこともあったろう。


シュートに集中できない瞬間もあったろう。




そうだな、なわ跳びか。


小学生のとき以来だが、39歳となった今も、俺の足の長さは小学生の頃と大差ない。


胴や腹や顔は大きく成長したが、足は成長しなかった、キープだ。


だから小学生の頃のように跳べる。なわさえあれば。


あや跳びする俺を想像、華麗だ。


ところで首にいたっては、今は無いと気付く。



だが。なわ跳びは趣味ではない。



もう長くなってきたし、いいだろう。


俺の趣味はお花見。


薔薇好きを推しているが、桜が好きでたまらない。




今夜は、以上だ。




今夜も「北風と太陽」については触れず、すまない。


タイトルに持ってきたら嫌でも北風と太陽を書くと、自分で思ったのだが、閃きに感謝したのだが、


タイトルに持ってきても俺は脱線し続けることが分かった。




お花見に出かけたいんだ。


もう家の中にいたくないんだ。


俺というか、まあ、彼女ってわけじゃないが俺の中の女が桜並木を自転車で走り抜けたい何往復も、と暴れだす。




俺の趣味はお花見。


年に何回まっとうできるかしれない、儚い趣味だ、同情してくれ。


儚い夢は、持っちゃいない。エッセイストは夢ではない、現実だ。無収入。


許されるなら宮村の姓をあっけなく捨て、夜桜達太と名乗りたい。




ちなみに、先週、今週とエッセイしているときは部屋にボブディランが流れている。


嘘のような本当の事だ。


アップルミュージックだ。入れ知恵してもらった。感謝している。ありがと。


フランス語圏の俺には、ボブディランの言っていることが全くわからなく、おかげでエッセイも音楽も同時に楽しめる。


しかし。カツ丼とボブディランとお花見行きたい気持ちと麻婆豆腐とが、部屋に同時に在る、それは危険だ何となく。


そんなもんは午前中に済ませるんだ。


お花見に出掛けろ。




ところで。


先日39歳の誕生日を迎えた。


4月5日に。


昨年、40歳を迎えたとき「人生の折り返し地点にきたな」と思ったので、今年は文字通り折り返してみた。


今年の俺は39歳だ、よろしく。




誕生日の翌日には、美女木という、なんとも艶めかしい地に住む、読者でもあり彼女候補でもある女から、大胆な刺繍をあしらったハンカチーフが届いた。


「達太、あなたは昨日の誕生日に、文字通り39歳に折り返しましたね。正解ですよ。」


とのメッセージと、俺は、受け取った。


大胆な刺繍ときいて、フランス語で愛しているとあしらってあると想像した君。ロマンチックだな。不正解だが正解をプレゼントしよう。


大胆。大胆。まさかマザーファッカーとの刺繍?!と思った君。君はチンピラなんかじゃない本当はいい奴、パンクロックが好きなんだろう。不正解だが敬意を。


バカ、違うよ、馬のような鬼のようなキャラクタの刺繍だ。


まさか猫ではないだろう。


しかしグレイトフル、キュート。


だが、俺は、そこに込められたじゅて~むのメッセージを見落とさない。




ところで、読者でもあり彼女候補でもある女から・・・など述べたが、見境の無いバンドマンみたいで、述べながら楽しかったもんだ。




じゅて~む




お詫び


一部、達太のプライベートが反映されてしまいました。




お詫びのクイズ


N県て、何県だー。


ヒント、新潟県。




じゅて~む

【あらすじ】 N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、 架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。 そして、達太の外見は、39歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。

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