じゅて~む 第124夜 「西遊記①」

【前回までのあらすじ】

達太は39歳の愛嬌のある会社員。

似ている有名人はバッハと布袋尊。

達太はこれまで、日本昔話や、シンデレラや赤ずきんちゃんの世界に度々お邪魔してきた。

お邪魔といっても、本当のお邪魔ではなく、

参加して功績を残してきた。

だが、そんな達太もオカルトの世界に功績を残しては来なかった。

俺そこで達太はは河童になることに。

ところが、河童となった達太の唇は、くちばしではなく、唇のままであった・・・。

俺は達太、河童だ。

きゅうりが大好きで相撲が得意だ。

頭の上に皿というか、カツ丼をのっけており、

そのカツ丼が割れたり、カツ丼の水が乾くと死んでしまう、危うい存在だ。


カツ丼が割れる?は?意味がわからないな。

誰かと半分コさせられるという意味だろうと俺は捉えている。

違っても、かまうもんか。


また。カツ丼の水が乾く?

比喩か何かだろう。

2日間もカツ丼を食べていないと落ち着かない、といったところか。


そんな俺に、中国のお坊さんから誘いが舞い込んだ。

「悟空と猪八戒とあたしと一緒に天竺を目指さないかい?」という誘いだ。

俺はもちろん快諾。徳を積めそうだからだ。

俺が徳を積みたいのが意外か?

そうか。ならばそれは誤解、俺はいつだって積みたい。

もしもカツ丼をコツコツ食べ続けることで徳を積めるのであれば、

これまで以上に日々コツコツとカツ丼を食って、積んでみせる。


俺は西遊記の世界へ。

空気が乾燥しているな。大陸へやってきたんだ、俺は肌で感じる。

もちろん、河童特有の緑色の肌で。

その昔、「グレムリン」の亜種「じゅてむりん」として、

夜中にクリスマスのご馳走を食べ、緑色になったときを思い出す。

あの白人の男の子、名をなんといったか。

彼ももう立派な大人だろう。わずか3年で?は?


ノスタルジーに浸るのは、やめだ。

今は、中国のお坊さんとのこれからを大切に。

三蔵「悟空、猪八戒、よく聞きなさい。今日から一緒に旅をする沙悟浄です。」

達太「悟空、猪八戒、はじめまして。達太です。」

悟空「え?三蔵さまは沙悟浄と言ったぞ、どっちだ。」

達太「俺は達太。河童です。ただし。唇を持っている。」

悟空「わかった、達太。しかし唇より頭の皿が気になる。丼じゃないか?」

達太「いかにも。カツ丼だ。中国にカツ丼の文化は?」

三蔵「悟空、沙悟浄、おやめなさい。」

悟空「沙悟浄?でも師匠、じゃあ、達太は?」


悟空にカツ丼をいちから説明するのか・・・と俺が腹を鳴らしたそのとき。

猪八戒「達太、よろしく。」

俺は猪八戒を見て驚く。俺なのだ。そっくりとも違う、俺だ。

猪八戒は、会社員時代の俺そのもので、耳も豚の妖怪のような耳ではなく、

会社員時代の俺と同じ耳だ。

中国のお坊さんと悟空は、この、俺が2人いる状況を、どう思っているのだろう。


旅は始まったばかり・・・。


猪八戒はじっと俺を真顔で見つめる。

俺の「よろしく」を待っているのだろう。

だが俺は、笑いをこらえるのに必死だ。

なぜなら、会社員時代の俺そのものの猪八戒は、豚の妖怪であることを示すために、

豚の耳のカチューシャを付けていた・・・。


天竺に向けて、じゅて~む

じゅて~む

【あらすじ】 N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、 架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。 そして、達太の外見は、39歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。

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