じゅて~む エッセイ編 第100夜
【あらすじ】
N県新潟市やN県長野市でコント活動をする集団の、コント台本を担当している江尻晴子が、架空の男性・達太としてエッセイ連載にチャレンジ。
そして、達太の外見は、39「歳にして徳川家康公にそっくりであった・・・。
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じゅて~む
あっさりと第100夜を迎えてしまったようだね。
人間でいうところの100歳だ。
俺の体内年齢は、運動不足と暴飲暴食が祟り、80歳だ。
100歳は、猫でいうところの、21歳だ。21年生きた猫は100歳だ。
だが、土日や祝日や日曜に、好き放題エッセイ更新していたせいもあり、
意外と、このエッセイ、じゅて~むは誕生から2年未満だ。赤子も同然。
第100夜だからといって華々しくする必要はない。
一年が365日もあることを忘れてはならない。
一か月は30日や31日もある。
つまり。
3か月強、会社に行かず、家でゴロゴロと出前をとってエッセイを書いておれば、あっちゅう間に100話だ。
第100夜。
そう考えると、大したことないな。
むしろ会社を3か月サボったようなもんだ。
だが、一応、100物語に免じて怖い話でもしておこうか。
俺は達太、39歳の会社員であり、エッセイスト。
似ている有名人は、高木ブー。ジャムおじさん。長谷川京子。
怖いだろう。
俺は出前も好きだが、食券を買うのも好きだ。
出前も食券も、取り返しが効かなくて好きだ。
女と食事を共にするとき。
「ねえ、こんなに注文して大丈夫?
あたしたち2人で食べきれる?」
という問いかけには、なるべく答えたくない。面倒臭い。
メニュがあり、女がおり、ボイがいる。そういった状況では、俺もつい、
「だね。こんなに注文しては食いきれないかもしれないね。会話もしなくてはだしね、僕らの未来について。」
「君、麻婆豆腐と回鍋肉と、水餃子と炒飯のみで結構だ。」
「餃子はいつキャンセルしたね?
4人前から2人前に変更、
それだけだよ。餃子は要る。」
と、食事を妥協する羽目になる。
だが。出前と食券の場合。
スマートに勝手に出前をとって、食券をどんどん発券できる。
女やボイが口を出す暇など、無い。
出前は注文を入れた時点で、作り手が動き出してしまう。
走り出してしまう。
女が俺の注文しすぎに気付くのは、出前がぞくぞくと俺達の目の前に届いてからだ。
食券は5000円札を発券機に入れて、どんどん好きなボタンを押す。
まるで子供のように。
気に入ったなら同じボタンを繰り返し押してもいい。
カツ丼、カツ丼、カツ丼、
他、8枚ほどの券を、俺は発券。
中には「大盛50円」としか書かれていない券もある。
8枚をトランプのごとく扇形にして、提出先へ急ぐ。
8枚出してしまった。女は俺を止められない。出てしまった食券。ボイなど不在。
ところで食券について。「発券する」と正しく言える大人は少ない。
だが。
俺は、発券した食券8枚のうち、1枚を落っことしてしまう。
池袋―。
俺は、美しく聡明な女に出くわす。
女の両脇には、キュートな青年と、精悍な青年。おそらく笑いに精通している。だが構うものか。
俺は、女に投げキッスを試みる。
だが手には8枚の食券。
俺は手元が狂い、8枚のうち1枚を、キッスの代わりに女に投げ贈ってしまう。
だが女はうわの空。
食券をキャッチする気配もない。
空が、薔薇が、池が、美しいため。
そして結果、食券は、行方不明。
俺は血眼になって食券を探す。
だが。
他7枚の食券メニューが出来上がったら話は別だ。
血眼になって食券を探すのは諦め、7つの料理と向き合おう。
俺は勇敢な気持ちに取り憑かれ、首に巻いていたスカーフを、投げ捨てる。
スカーフを投げ捨てたことで、探すものが増える。
食券とスカーフだ。
そこへ、
「何かお探しですか?
一緒にお探し致しましょうか。」
一人のロングヘアの美女が現れる。
俺は、つい。
「いいのですか。貴方のようにショートヘアの似合う女性が、こんな俺の落とし物を、一緒に・・・?」
女の長い髪が、風になびく。
これのどこがショートヘアですか、と俺に無言の問いかけを、圧力を、かけてきながら、風になびく。
絵日記のようなエッセイを、これからも。
じゅて~む
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